化ける!きつね面


日本の伝統的なお面である「きつね面」に今回、約530個のフルカラーLEDを使うことで表情が変えられる、「化ける」きつね面を作りました。現在の真空成形技術や伝統の張り子技法を組み合わせることで、新しくもどこか懐かしく、温かみのある質感のきつね面に仕上げました。


背景

お面は様々な文化において祭礼や儀式、演劇において別の存在に成るために用いられてきた。しかしお面は表情や絵柄を変えることができない。そのため、お面を見せる角度やお面自体を交換することで表情や絵柄の変化を表現をしてきた。
本作品は約530個のフルカラーLEDを用いることで表情や絵柄を変えることができる、変身することができる現代版のお面を製作した。静止画だけでなく、簡単な動く映像(動画)の表示も可能である。狐面としたのは、日本では祭りの際に売られていることもあり、お面としては非常によく知られていること、また狐が神の使いや神秘的な動物であり"化ける"、変身するとされていることから、狐面を題材とした。このお面は携帯用バッテリーで動くため、このお面をかぶり、自由に歩き回ることができる。また、スイッチにより表示している絵柄を変えることができる。
口を動かしてしゃべっているように見えるアニメーションや、目をハート型にして相手に思いを伝える(emojiの文化をお面に取り入れる)などの試みも実施している。無表情のお面では子供に怖がられるが、口を動かすことで子供が寄ってきてくれるということもわかってきた。
現代ではVTuberというCGキャラクターやアニメーションを使ってキャラクターになりきって、動画を投稿する文化も生まれている。この化ける!きつね面をつけることで、実写でありながらVTuberのようにキャラクターになりきった演出が可能となるかもしれないと考えている。
また、SNSで写真を扱う際に、匿名性を保つために投稿者本人や、周りに映った人の顔の上に絵文字(emoji)やアイコンを貼り付けて投稿する文化が生まれている。様々なところにカメラが存在し、AIや画像認識により監視される社会において、匿名性を担保しながらも表情を変えて自分の気持ちを表すことができるお面は、現代社会を生きるための一つの解となるかもしれない。








以下、詳細

仕組み

以下の動画では「化ける!きつね面」を使いながら、VTuberになったように紹介してみました。動画のサムネイル画像もVTuberを意識し見ました。後半には、「化ける!きつね面」の制作の過程を紹介していますので、後までご覧いただけますと幸いです。





製作のきっかけ

2019年に京都で初めてのMaker Faire (Maker Faire Kyoto 2019)が開催されることになりました。その前年にあたる2018年にMaker Faire Kyoto 2019の会場であるけいはんなオープンイノベーションセンターKICKにて京都スマートシティエキスポ2018が開催されました。そのイベントの中でMaker Faire を紹介するためにMaker Faire ブースが設けられました。 その際に、自分の中で

という連想から「化ける!きつね面」の前進である光るきつねのお面を制作をしました。このときはLEDも約170個しかついておらず、表情を作るには不十分な個数でした。その後、約530個のLEDを使用して、表情を作ることができる本きつね面を制作しました。

図 左から光るきつね面と「化ける!きつね面」で使用しているLEDの比較。
光るきつね面が約170個だったのに対して、「化ける!きつね面」は約530個のLEDを使用している。
※「化ける!きつね面」はこの上から真空成型したプラスチックの型に和紙を張り付けた拡散板を取り付けている。


その他、こぼれ話

「化ける!きつめ面」に使用しているLEDはWorldSemi社のNeoPixelというLLEDを使用しています。中国の深圳(シンセン)で開催されたMaker Faire Shenzhen 2019に参加した際に、WorldSemiの工場を見学させていただきました。その際に「化ける!きつね面」も里帰り。Yin社長と写真を撮らせていただきました。忘れられない思い出となりました。

図 Maker Faire shenzhen 2019の際に中国、深圳(シンセン)のWorlsSemi社にて、Yin社長と。



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