ミツメル

Looking


16×16のLEDで表現された目が体験者(前を通る人)に視線を送り続けるという作品です。体験者が右へ、左へと移動すればそれを追いかけるように、右へ、左へと視線を送ります。体験者はLEDで作られた本物とはかけ離れた、解像度の低い目にもかかわらず、マバタキをしながら視線を送り続ける目に見つめられることで、気持ち悪さ(恐怖)を味わったり、見守られているという安心感を感じることになります。人でないもの(特に必要最小限にまで情報を削ぎ落として表現された目)であっても"人"や"生"、"意思"を感じるという不思議な感覚を体験する事になります。



背景

人は何に対して人がいるという雰囲気を感じるのか?と考えたことがあった。子どものころにテレビに映るアナウンサーが、モニタ越しにこっちを見ているように感じて、テレビから隠れて見ていた思い出から、人の視線というものに関心があった。また赤ちゃんのことから、人は親の視線を意識しているという話を聞いたことがあり、人が意識する視線というものに興味があり、その視線を使った作品を作りたいと考えていた。
そこで、できるだけ情報量の少ないもの(例えば非常に情報量が欠落したドット絵のような情報)で目を表現し、その目が体験者に視線を追い続けたときでも、その目に対して、視線や人のいるという雰囲気や、生きているような感じ、意思を感じることができるだろうか?というのが本作品の製作に至った経緯であり、モチベーションである。
本作品は16×16の単色のマトリックスLEDでドット絵の目のアニメーションを作っており、人の動きの検知にはKinectセンサーを使用して体験者を検知し、その人が動けば目の眼球を示す部分が、その人を追い続ける。目の表現として、ランダムで瞬きをするように作られている。

図 ミツメル(16×16のマトリックスLEDの目(下)とKinectセンサー(上))








以下、詳細

仕組み

本作品は8×8の赤色の単色マトリックスLEDを4枚使用し、16×16のLEDディスプレイを構成している。LEDの制御はArduinoを使用している。16×16個のLEDを制御するためにシフトレジスタ回路を開発し、Arduinoの少ないピン数でも制御を実現している。

図 16×16のマトリックスLEDで表現した目

目のアニメーションは人の左右の動きに合わせて眼球を左右に動かし視線を送り続ける。また、本物の目の様にランダムで瞬きをするようにプログラミングしている。目のアニメーションを作るにあたって、全パターンの目の動きのコマをあらかじめ画像として作っておく必要がある。目のアニメーションは一枚一枚手書きでデザインしていった。 左右に視線を送っているときに瞬きをしている可能性もあるので、その場合についても考慮してデザインした。

図 瞬きのアニメーションのイラスト

人の検知にはKinectセンサーを使用した。Processingという開発環境を使って、人らしいものが通るとその人のボーンの中心にラベルを貼り、その人を追い続ける。展示では多くの人が作品の前を通過する。そのため、人が通過するとその人から1から順に番号を付与していき、若い番号を持っている人に視線を送り続ける仕様とした。人が増えても最初に見た人を、その人がいなくなるまで見つめ続けるということを意味する。こうしたことで、展示では。「あ、私についてくる。私を見ている!」という印象を与えることができた。展示では「気持ち悪い」、「見られている感じがする」という感想を多くいただくことができた。
展示の際は以下の図のように三脚に固定して、人の顔の高さにして設置した。

図 ミツメルの展示の様子
PC画面はKinectで検知した人の情報をProcessingで解析し、モニタ表示している

図 ミツメルの全体像




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